1年単位変形労働時間制のメリットと導入方法

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最近記憶力の低下を実感することが度々あります。

トランプの手品で、1人がカードを引いてそれを元に戻し、もう1人が同じカードを当てるというものがありますが、カードを元に戻した後何のカードだったか忘れてしまい。
いや、正確にいうと戻した直後は覚えていたのですが、その後山を作ったり削ったりするもんだから全く分からなくなり。
あーあ、手品以前の問題。

ということで、忘れないうちに1年単位の変形労働時間制の話を。
この制度は1年の間に年末が忙しい、月末が忙しいなど繁閑の差がある場合に、それに沿うよう所定労働時間から変えてしまうというものです。そしてその所定労働時間内であれば、若干の例外を除き残業代(割増賃金)は発生しません。

しかし、実は繁閑の差を別としても、ほとんどの企業でこの制度を導入するだけで残業代(割増賃金)が削減できます。

 

◆導入数
1年単位変形労働時間制の実施は他の変形労働時間制より圧倒的に多く、全体の37%を超えるとのこと。
http://laborstandard.blog82.fc2.com/blog-entry-118.html

◆導入するだけで割増賃金を削減
現在の労働法では大きなルールが2つあります。
①1日8時間を超えた場合、25%以上の割増賃金を払う
②1週40時間を超えた場合、25%以上の割増賃金を払う

これが、1年単位変形労働時間制を導入するとこう変わります。
③1日10時間、週52時間を超えてはならない
④1年間平均して週40時間を超える場合、25%以上の割増賃金を払う

つまり、③に抵触しなければ、1年を365日とすると、年間365÷7(1週間7日)×40(1週間40時間)= 2,085.71時間までは割増賃金が発生しないことになります。

ほとんどの企業では祝日や夏休み等があるため所定労働時間は2,085時間未満です。例えば、1日8時間、週休2日、国民の祝日、年末年始(12/30~1/3)、お盆(8/13-16)を休みとしている会社では、2009年、年間所定労働時間は1,920時間です。

結果、1年間で約165時間も割増賃金を余分に払っていることになります。

そこで、例えば1日の所定労働時間を9:00から18:40(休憩1時間)とすることもできます。これであれば年間2,080時間となり、割増賃金は一切発生しません。

1日の所定労働時間が8時間40分になりますから、1年単位変形労働時間制を導入しなければルール①に抵触し、活用できない制度になります。

◆1年単位変形労働時間制の導入方法
過半数を組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する人と労使協定を締結します。

協定の内容としては

  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間
  • 特定期間(連続労働可能日数が6日から12日に拡大します)
  • 各労働日、及びその労働時間
     (もしあらかじめ決めることができない場合は1ヶ月以上の期間で区切り、2期目以降は総労働日数、総労働時間のみで構いません。ただその期間開始30日前までには労働日ごとの時間を定め代表者に同意をとる必要があります。)
  • 1年の労働日数の限度、連続して労働させる日数など
  • 変形期間の開始日
  • 労使協定の有効期間(通常1年。最大3年)

この協定は労働基準監督署に届ける必要があります。

さらに就業規則を変更します。上記労使協定はあくまで法令違反を免れるために行うものであり、従業員に実際その前提で働いてもらうためには就業規則等の変更も必要になります。

変形労働時間制の内容は各企業によって異なりますから独自に決めていただくことになりますが、労使協定及び就業規則の規定例を掲載します。

◆労使協定例
1年単位の変形労働時間制に関する労使協定
○○株式会社と従業員代表○○○○は、1年単位の変形労働時間制に関し、下記のとおり協定する。

(勤務時間)
第1条 所定労働時間は、1年単位の変形労働時間制によるものとし、1年を平均して週40時間を超えないものとする。

2 対象期間には、1か月毎の区分期間を設ける。区分期間は起算日から1か月(歴月)毎の期間とする。

3 1日の所定労働時間、始業・就業の時刻、休憩時間は原則次のとおりとし、詳細は別紙年間カレンダーの通りとする。
①7月、12月、3月
所定労働時間=1日8時間30分
(始業=午前8時30分、終業=午後6時、休憩=正午~午後1時)
②前期①以外の期間(4月、5月、6月、8月、9月、10月、11月、1月、2月)
所定労働時間=1日7時間30分
(始業=午前9時、終業=午後5時30分、休憩=正午~午後1時)

(起算日)
第2条 対象期間の起算日は平成○年○月○日とする。

(休日)
第3条 休日は、別紙年間カレンダーの通りとする

(特定期間)
第4条 特定期間は次の通りとする
7月4~7月17日、12月5日~12月18日、3月6日~3月19日

(対象となる従業員の範囲)
第5条 本協定による変形労働時間制は、次のいずれかに該当する従業員を除き、全従業員に適用する。
一 18歳未満の年少者
二 妊娠中または産後1年を経過しない女性従業員のうち、本制度の適用免除を申出たもの
三 育児や介護を行う従業員、職業訓練又は教育を受ける従業員その他特別の配慮を要する従業員に該当するもののうち、本制度の適用免除を申出たもの。

(有効期間)
第6条 本協定の有効期間は起算日から1年間とする

平成○年○月○日

○○株式会社代表取締役 ○○○○印
従業員代表製造第2課係長 ○○○○印

 

◆就業規則例
第○条 労使協定により1年単位の変形労働時間制が適用される対象従業員の場合は、所定労働時間は対象期間を平均して1週40時間以内とし、詳細は当該労使協定に定めるところによる。1年単位変形労働時間制が適用されない場合は1週40時間とする。

第○条 休日は次の通りとする
(1)日曜日(法定休日)
(2)土曜日(法定外休日)
(3)国民の祝日及び国民の休日
(4)年末年始 12月30日から1月3日
(5)夏季休日 8月13日から8月15日

 

◆関連
1年単位変形労働時間制導入時の注意点
http://lsconsul.com/mt/2009/12/1-2.html

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