男女賃金格差

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法務省が女性の人権ホットラインを開設しています。そして21日までは強化週間で受付時間を延長しているようです。
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200911/5.html

家庭での暴力などは誰かに相談しないと事件が発覚しないため、こういった取組みは意味があると思います。ただ、一方で女性が経済的に自立できるようにすることも必要です。そういった自信がないとなかなか一歩を踏み出すことはできません。

今後個人事業主のような自由な働き方が増え、ネットワークを構築できる人が成功するでしょうから女性が活躍しやすい時代になることは間違いありません。
一方企業にとっても男女の格差を縮めるような努力をしていただきたいと思います。

 

◆兼松男女賃金格差違法が最高裁で確定
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20091021/dms0910211215000-n2.htm
男女の違いで賃金を差別する状態をつくり、維持した措置は違法。一定の経験を積み、男性と同程度の困難な職務をしており合理性のない差別、と判決。
4名に対し合計7,200万円(!)の支払いを命じています。

◆厚生労働省男女間の賃金格差レポート
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku09/pdf/01.pdf

・一般労働者の男女間所定内給与格差
男女賃金格差

男性の平均賃金水準を100とすると女性は67.8。
勤続年数、役職者の数などの影響が大きいと思われます。

産業別で見ると特に
55.9 金融保険
61.4 製造
62.1 卸売、小売
62.7 鉱業
で格差が大きくなります。

・管理職比率
勤続20~24年について
男性は20.4%が課長であるのに対し、女性は4.2%ほどしか課長になっていない

◆男女賃金格差に関するアンケート(前掲レポートより)
・男女間賃金格差の要因
男女間賃金格差の要因

◆業務の難易度、職種について
男性または女性だからという理由をもって業務、職種を限定することは基本的にできません。それが許されるのは「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(平成18年厚生労働省告示第614号)」の14.法違反にならない場合に記載あるもののみです。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/20000401-30-1.pdf

よく問題になるのは、安全上の配慮で女性には深夜業をさせない、交代制の対象外とした場合です。会社としては良かれと思って差別することも上記指針、つまりは男女雇用機会均等法第6条違反と判断される可能性が高くなります。

指針の中「守衛・警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務」は女性の就業を制限しても差別に当たらないとありますが、これも「犯罪行為を誘発する可能性が高い対象物等に係る防犯を目的とし、かつ、男性を従事させることで、その外観的効果から犯罪者の犯罪意欲を萎縮させ、犯罪の予防効果が図られるものに限られる」とあり、

  • 万引犯の捕捉
  • 裏でモニター監視を行い異常時に通報するだけ
  • 夜間の火の用心
  • タクシー乗務で危険区域を設定し女性乗務員の走行を禁止すること
  • 無線での連絡が不可能な地域の女性乗務員の走行を禁止すること
  • 暴力団事務所への集金業務など

は全て該当しません(女性の就業を制限した場合違法と判断されます)
(参考:改正男女雇用機会均等法 労働法令協会著)

ただし、防犯・安全対策は必要です。(女性だからというよりは従業員を守るために)駐車場の防犯等の整備、防犯ベルの貸与など。また、夜間に睡眠を与える必要があるとき、あるいは仮眠することのできる機会がある時は安全衛生法に基づく仮眠室休養室を男女区別して設けないといけません。

事業主の経営状況、店舗の立地条件、周辺の治安状況等を総合的に勘案して、考えられる最大限の防犯措置を講じたとしても危険性が残るといったきわめて限定的な場合、あるいは女性だからという理由ではなく個々の従業員の事情を考慮し就業を制限することは可能です。

因みに、男女で職種が違う理由について前掲アンケートでは
41.4 男女で希望が異なる
39.6 男性向、女性向の仕事が有る
30.6 これまでの慣行に従っている

◆平均勤続年数について
子育て期に仕事を辞めることが多くなりますが、現在の制度上はなるべく辞めないほうが良いでしょう。
参考: http://lsconsul.com/mt/2009/11/5-2.html

◆転勤について
総合職の募集にあたって転勤に応じられることを要件とすること、あるいは昇進にあたって転勤経験があることを要件とすることは合理的な理由が有る場合のみ認められます。

例えば

  • 広域に展開する支店、支社がない
  • あったとしても転勤は実際に行われていない
  • 地域の特殊性を経験することが能力の育成確保に必要で有るとは認められず人事ローテーションを行う必要もない場合

などは合理的な理由がないとして違法になります。
こちらにも詳しく記載があります。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/danjyokoyou_f.pdf

◆諸手当について
住宅手当を世帯主、あるいは主たる家計の維持者とすることもとくは問題ありません。ただ、一方で女性のときだけやけにしつこく聞いたり、収入の証明書提出を求めたり、男性のときだけ非世帯主でも世帯主として扱っていた、ということをすると違法となります。

◆総合職、一般職等コース別で管理している場合
全体の約1割の企業ではコース別の管理がされています。

ただし、一定の配慮が必要で特に以下に該当する場合は違法と判断されます。

  • 総合職は男性のみ、準総合職や一般職は女性のみといった制度を作ること。
  • 採用情報の提供や会社説明会への参加、採用試験の受験の受付を、総合職は男性のみ、一般職は女性のみとすること。
  • 一般職には男女を募集するが、総合職には男性のみを募集すること。
  • 総合職の採用試験は男女を対象としているが、女性に対してのみ未婚であること、子を有していないこと、自宅通勤などの条件を付すなど、採用条件が男女で異なること。
  • 総合職の筆記試験や面接試験の合格基準が男女で異なること。
  • 総合職の採用面接で女性に対してのみ、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無、転勤の意思の有無などを質問すること。
  • 総合職は男性のみとする慣行があること。
  • 形式的には、すべてのコースで男女を募集しながら、女性は採用しないという方針のもとに男性のみを採用すること。
  • 総合職であっても女性については営業の職務から排除すること。
  • 男性については人事考課において平均的な評価がなされている場合には昇進させるが、女性については特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。
  • 新たにコース区分を設ける場合に、既存の従業員を男性は全員総合職、女性は全員一般職に振り分けること。
  • 男性は無条件で総合職に振り分けるが、女性は上司の推薦や試験の合格を条件として総合職に振り分けること。
  • 一般職の男性については、いわゆる準総合職・総合職への職種の変更の対象とするが、一般職の女性については、準総合職のみを職種の変更の対象とすること。
  • 一般職から総合職への職種の変更について、男女で異なる勤続年数を条件とすることや、女性についてのみ上司の推薦を受けることを条件とすること。
  • 広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない場合に転勤要件を設けること。
  • 広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、長期問にわたり家庭の事情その他の特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/koyoukanri.html

◆女性従業員の活躍度を測るには男女賃金格差指数が最適です
http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2009/09/006-010.pdf

◆男女賃金格差に関する資料
非常に分かりやすくまとまっています。
特に、管理職における女性の割合は諸外国と比べるとその低さが突出しています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/dl/s1030-10b.pdf

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