個人請負型就業制度導入時の注意点

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前回、個人請負型就業制度導入のメリット、デメリットなどについて書きましたが、
今回はその続きで導入時の注意点を考えてみたいと思います。

厚生労働省の調査でも、いくつかの問題点が指摘されており、今後規制がかかる可能性もあります。あらかじめ注意しながら導入したいところです。

(今後は、労働者とまでは言えなくても、請負契約などによって役務を提供し、特定の相手に経済的に従属しているとみなされる場合に、労働契約の観点から一定の保護を与えるといった形になるようです)

◆請負
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法 632条)

◆偽装請負の問題
業務請負や業務委託の契約形式を採る、または該当者が個人事業主として契約主体となっている場合であっても、単なる労働力、労働者の供給であり、請負としての実体がない場合を偽装請負と呼びます。
これに該当した場合、派遣、あるいは雇用契約があったものとして判断されます。
(偽装請負となってしまった場合のリスク:http://lsconsul.com/mt/2009/09/post-41.html

偽装請負とみなされないために、下記の点に注意する必要があります。
・仕事の依頼方法
成果物を指定する
業務中に逐一指示を受けなくてすむよう、必要に応じ具体的な指示・注意事項を書面にする
損害賠償についてもあらかじめ定める

・指示に対する承諾否定の自由
成果物に問題が生じないにもかかわらず、その指示を断れないとするのはやめる

・指揮監督の有無
業務の遂行方法、作業の割付、順序、必要な労働者の数、配置まで指定することはしない
(これらを含め、請負先企業が実質的に管理しているとみなされないほど細かく、作業内容、順序、方法について指示することは書面・口頭を問わずできません)

また、発注元社員と請負先社員が混在して働くことは「なるべく」避ける

・時間・場所の拘束性の有無
成果物に影響を生じないにもかかわらず労働時間、場所を管理、指定しない
発注元が労働者に直接時間外、休日労働等を命じることはできない

・報酬の労務代償性
成果物に対して報酬を払う。労働時間に対し報酬を払うことは避ける
(欠勤した労働者の賃金分を請負代金から引くことはできない)

・発注元の応援
大量注文の為、発注元労働者が請負先の作業場で応援することも避ける
もしどうしても応援が必要なら、発注元自らが行うよう契約を一部変更する

・事業者性の有無(機械、器具の負担関係)
原則請負業者が自己の負担で機械設備を調達し業務を処理。もしそれができない場合は機械等の使用について別途契約を結ぶ
資金等についても自らの責任で調達する

・専属性の程度(他社業務への従事に対する制約)
他社業務への従事も成果物に影響がない範囲で認める

・採用や委託の選考過程
請負企業が従業員を新たに雇う場合、発注元が立ち会うことなどは避ける

・人事評価
発注元が労働者の人事評価に影響を及ぼすことは避ける

・源泉徴収、労働保険の適用
発注元企業が所得税を源泉徴収したり、保険料を控除してはならない

・服務規律
労働者の服務規律については請負側が独自に定め、管理する
(安全衛生、機密保持のため合理的なものであれば発注元が管理しても構いません)

・製造業等における技術指導
請負企業が始めて機械等を使う場合に労働者に受けさせるもの
新商品の製造着手時に補足的な説明を受ける場合
安全衛生上緊急に対処する必要がある場合
のみ可能

ただ、原則は請負企業責任者に指導する

参考:
http://www.shizuokarodokyoku.go.jp/syokuan/antei/pdf/jisyutenken_ukeoijigyo.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/tekisei.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf

◆報酬の支払い時期
報酬は、原則仕事の目的物の引渡しと同時に支払われなければなりません。(民法633条)

◆解除
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は契約を解除することができますが、損害賠償が必要です。(民法641条)

◆独占禁止法
第2条及び昭和五十七年公正取引委員会告示第十五号により「不公正な取引方法」として
・相手方に不当に役務、商品などを自己の指定する業者から購入させ、取引を強制すること
・相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること
・自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること
 (自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること)
 (相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること)
・自己と競争関係にある他の事業者と相手方との取引を妨害すること
などが規定されています。

例えば、請負個人事業主は契約を切られると事業の継続が困難になります。
発注元がそのような有利な立場を利用し、代金の支払い遅延、代金の減額要請、著しく低い対価での取引の要請などを行うことは禁止されています。

◆下請代金支払遅延等防止法
代金は受領もしくは役務の提供から60日以内のできる限り早い日に行うこと
(第2条)

下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法等を記載した書面を作成し、交付、保存すること (第3条、5条)

不当な受領拒否、下請代金の支払遅延、不当な代金減額、不当な返品、不当な買叩き、製品、原材料等の強制購入は禁止 (第4条)

◆建設業法
工事内容、請負代金の額、工事着手・完成の時期、設計変更・着手延期時の取り決め、不可抗力による延期・損害の負担、価格、等につき書面を作成、交付すること

通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とすること
自己の地位を不当に利用し、資材等の購入先を指定すること
などは禁止 (第19条)

◆家内労働法
物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者で、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものに該当した場合は、家内労働法が適用されます。

家内労働手帳の交付、及び業務の内容・工賃等の記載すること (第3条)

類似業務と比較し、通常の労働時間をこえた委託となら内容努めること (第4条)

6ヶ月以上委託を行っている場合は、打切りを予告するよう努めること (第5条)

受領から1ヶ月以内に工賃を払うこと (第6条に)

◆労働安全衛生法
元方事業者は法令違反が内容適切に指導すること 

建設業の場合、土砂等が崩壊、機械等が転倒するおそれのある場所は危険の防止措置を講じる

特定元方事業者は、協議組織の設置運営、連絡調整、教育援助等を行う 
(第29条)

◆バイク便
「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について」とする通達によると、

  1. 業務の内容及び遂行方法に係る指揮監督が行われていること(指揮監督があること)、
    (日常、営業所長の配達指示の下、配送業務に従事している。)
    (営業所長の指示のもと、内勤スタッフの業務を手伝うこともある)
  2. 勤務日及び勤務時間があらかじめ指定され、出勤簿で管理されていること
    (拘束性があること)
    (到着、引取、配送完了、休憩開始時などにメールで連絡)
  3. 他の者への配送業務の委託は認められていないこと(代替性がないこと)、
  4. 報酬の基本歩合率が欠勤等により加減されること(報酬の労務対償性があること)
  5. 独自の商号の使用は認められず、事実上兼業を行うことは困癖な状況にあること等
が認められる場合には請負ではなく、労働者(雇用されている)と判断されるとのことです。
http://labor.tank.jp/db_siryou/index.php?pg=search_disp&get=50

◆飲食店
大手牛丼チェーン店にアルバイトとして雇われていた者が、残業代の支払いを申し入れたところ、会社は、アルバイトの店員を、請負契約に類似する業務委託契約を結んだ個人請負であるとし、残業代支払を拒否。

仙台労働基準監督署は平成20年12月10日、会社と賃金担当役員を労働基準法違反(賃金不払い)容疑で仙台地検に書類送検。

◆メーカーの修理業者
業務を請け負っている「代行店」と呼ばれる委託契約労働者らが、待遇改善を求める団体交渉を会社に申し入れたところ、労働者ではないとして交渉を拒否された。

不当労働行為であるとして、救済を申し入れたが東京地方裁判所では労働者性を否定。

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