個人事業主+請負契約による就業(個人請負型就業)

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厚生労働省で第1回個人請負型就業者に関する研究会が先日行われました。http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41.html

個人請負型就業者とは、個人自営業者であって、1つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を交わし、常駐に近い形で就業する形態を指します。
この場合、既存の制度や法律の適用から漏れている場合があるため、まずは実態を調査し、それを踏まえた上で法的保護など施策を考えたいとのことです。

我々は以前から、労務問題解決の1つの手段としてこの個人請負型就業者の形態を勧めてきました。(雇用契約ではなく、社員を個人事業主とし業務請負契約を結ぶ方法です)

どのようなメリットがあり、そしてどのような問題点があるのか、簡単にまとめておきたいと思います。

◆従業員を個人事業主に
今までのように会社が従業員を雇うという考え方ではなく、希望した従業員を個人事業主とし、雇用契約ではなく業務請負契約を結びます。

◆なぜ個人事業主にするのか
会社に雇用されると労基法他が適用され、労働時間管理、有給休暇、労災保険、社会保険加入などメリットもあります。しかし一方で業務内容、服務規律、時間場所の拘束及びキャリア形成などは他人の意見に従わなければなりません。
もちろん、それでよいという人はそのままで構いません。

しかし、働く目的が多様化している今、会社に雇用され労働者となるか、あるいは個人事業主として少し自由に働くかは本来自分で決められるべきものです。個人事業主となるかは本人の判断に任せることになりますが、そのような制度、選択肢を会社の中に作っておいたほうが従業員の満足度は高まるでしょう。

そして、会社にとっても、個人事業主となった方が成果は上がり、労務管理上のコストも大幅に減ります。

◆働く目的の多様化
H19年に厚生労働省が行った調査によると、正社員・出向社員以外の労働者について現在の就業形態を選んだ理由(3つまでの複数回答)は

1. 42.0% 自分の都合の良い時間に働けるから
2. 34.8% 家計の補助、学費を得たいから
3. 25.3% 家事育児介護や、学習趣味などとの両立がしやすいから
4. 23.2% 通勤時間が短いから
http://lsconsul.com/data/why_thisworkstyle.xls
(出典:
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/syugyou/2007/1107-1.html
となっています。

収入などよりも、ある程度自由に働きたいという人が多いことが分かります。繰り返しになりますが、個人事業主になるかどうかは本人に任せるにせよ、そういう希望に沿った制度やメニューを提供できるかどうかは非常に重要です。

◆個人事業主となった場合の従業員にとってのメリット
・残業時間含め労働時間ある程度自分で決められる
・上司の帰宅を待って帰宅する、などといったこともない
・就業場所もある程度自分で決められる
・キャリア形成などもある程度自分で決められる
 (社員がある時急に解雇された場合と比べると圧倒的に有利と思われる)
・他社からの依頼にも対応し、リスクを分散することができる
・社長になり、モチベーションが上がる
・自宅、車、会議費、一部光熱費、交通費、通信費、資格取得のための
 費用、講習会、研修会など経費で落とすことができる
・自分の家族に給与を支払えば、さらに節税が可能
・業務内容が明確となるため、大胆な成果報酬が可能
・消費税分は年収基準未満なら払わなくて良い
・将来独立を考えている場合は、良い練習になる

参考:http://mcea.jp/service/merit-2

◆個人事業主となった場合の会社にとってのメリット
・労働時間管理義務が免除される
・労働者名簿、賃金支払台帳なども必要ない
・保険料の支払いが必要なくなる
・健康診断、安全衛生管理体制、安全衛生教育などが軽減、または免除される
・やむなく契約を解除する場合にも解雇の問題は生じない

◆個人事業主となった場合デメリット

  • 契約が切られる可能性がある
    雇用契約と違って契約が更新されなかった場合、解約された場合にも事前に定められた損害賠償が行われるだけで、地位確認の訴えを起こすことなどはできません。
     →しかし、現在では雇用契約だったとしても解雇される可能性は大きく、
      決してどちらが安全とは言えません。
      ただ、切られる不安は大きいと思いますので
    • 請負料金は毎年話し合いの上定めるものの、契約期間を7 - 10年間など広めに設定
    • 契約解除の理由を具体的に定め、それ以外での解除を禁止する
    • 同様の人を集め、労働組合を作る
    などにより不安を解消させる仕組みを作ります。
  • 健康管理は自分で行わなければならない
    残業時間は自分で定めることになります。いくら残業が多くても業務の変更などなんらかの保護を受けられるわけではありません。
     →契約を切られるかもしれないという過度なストレスが残業増加に
      つながります。その為、上記の配慮を行います。
      さらに、業務の範囲を明確に定め、後から増えないような契約を結びます。
  • 安全管理が不安
     →請負になっても、発注元の責任が完全になくなるわけではありません。
      労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を
      安全配慮義務と言いますが、これは請負の関係でも残ります。
  • 保険料は自分で支払う必要がある
     今まで会社が半分負担していた分を労働者が払うことになります。
     →その分は請負料金に追加してもらいましょう
  • 年金が減額される可能性がある
     個人事業主となった場合、法人化すれば厚生年金に加入できますが、そうでなければ国民年金のみとなり、将来年金が少なくなる可能性があります。
     →国民年金基金に加入しましょう
  • 健康保険傷病手当金がもらえない可能性がある
     健康保険に加入しても、事業主のため傷病手当金がもらえない可能性があります。
     →民間の生命保険に加入しましょう
      あるいはインディペンデントコントラクター協会を通じて団体長期障害所得補償保険に加入することもできます >More
  • 労災保険もなくなる
     →特別加入といって事業主でも加入できます。
  • 確定申告など煩わしい作業が発生
     →これはおっしゃる通りです。
      会社として、一括して確定申告の説明会をする、あるいは我々のような第3者がサービスとして代わりに確定申告を行い、負荷を軽減しましょう。

◆コストの比較
下のグラフは、月収40万円、賞与年間3カ月分、扶養(奥さん)1人の人に1年間業務に従事してもらった場合の会社が支払うコストとその使い道を表します。

赤が個人事業主となった場合、青が社員の場合です。
両方とも年間800万円強の費用がかかっています。

しかし、その人にとって使い道が大きく変わります。
個人事業主の方が、そもそも自由に使える金額が増えますし、その他交際、福利厚生、雑費などはある程度自由に使うことができます。

コスト比較

・個人事業主の場合の前提
 法人ではない
 奥さんを青色事業専従者として給与を支払う
 健康保険は国民健康保険に加入
 労災保険にも特別加入。保険料は社員の場合と同じ金額
 国民年金基金に加入
 (最大の年間81万円以上加入。30歳から払えば国民年金と合わせ老齢年金は約265万円
 ただし、私傷病で障害の場合は約80万円のみ、遺族への保証は原則なし
 労災の場合は労災保険から支給)

 

デメリットもあり、また制度導入時には注意すべき点もあります。
ただ、それでもなお、制度を作っておくメリットが勝っているでしょう。

現在、労働基準法などの残業時間を見てもそうですが、やる気のある人にとっては様々な規制がかかります。しかし、現実を見るとIT業界のプロジェクトリーダーなどどうしても残業をしないわけには行かない人、あるいはある程度若いときに集中的に頑張ったほうがキャリア形成にとって良い人、または将来の可能性が広がる人などがいます。

ほんの一部の人かもしれませんが、その人のために選択肢を広げ、モチベーションを高めることはとても重要なことだと思われます。

※注意点についてはこちらを
http://lsconsul.com/mt/2009/09/post-48.html

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